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1 曲線の家並



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 地図や衛星写真を見ていると周辺とは少し変わった部分を見つけることがあります。それがどうしてそうなったか、という謎解きが楽しみです。上のGoogle Map、この住宅地は曲線を描いて建並んでいます(画面左側の+ −で付近の状況をご覧下さい)。ここ数年この謎がなかなか解けなかったのですが、最近手に入れた地図でやっとわかりました。大体曲がりくねっているような所はかって川(旧河道)や溜池などがあったために道路や境界が曲がっていて、そこに建物が建てられるとこのように変わった景観を生み出します。古地図や地質図、古絵図を見る度に気をつけていたのですがなかなかわかりませんでした。これはどうも古いものだけにあたっていたのでそれが盲点だったようです。


1929(昭和4)年 堺市砂道町付近地形図

 
 1929(昭和4)年の堺市の地形図を見ると、右下の南海高野線浅香山駅構内から左上の七道東町にあった梅鉢鉄工所への引込線があり、それがここに相当します。つまり当時鉄道車両を製造していた鉄工場からの専用軌道が1940年(昭和15)年に廃止された後、軌道跡には住宅が建てられていた状況だった訳です。廃線になった軌道は道路などになるのが多いのですが、住宅が建並ぶのは珍しいのではないでしょうか。

堺市堺区砂道町2丁 線路跡の住宅(左側) 2011.1.2 撮影:今駒清則

 追記:この引込線軌道の跡地へ行ってみました。普通に住宅が建ち並んでいますが道路はかってあった軌道のカーブに沿ってきれいな曲線を描いています。写真は軌道跡南の道路で、西側から東にある南海高野線浅香山駅方面を望んだところです。かっては向こうの浅香山駅から手前へ専用鉄道の軌道が延びていたところで、左側の住宅は軌道上に建てられています。軌道のことですからその幅はちょうど家一軒分がぴったりで、家の両側が道路に面しています。そして軌道跡北の道路は曲線を描いて砂道町3丁と2丁の境界となっています。(なお堺市では「丁目」でなく伝統的な「丁」を使用しています)(2008.1.7記。2011.1.2追記)



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